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修学旅行素直クール

先生「よーし、これから修学旅行の班決めをするぞー!」
一同「おー!」
先生「それじゃ4人一組で班を組んでくれ。それと、御前らに1つ条件をつけさせてもらう。一つの班に男子と女子が必ず1名以上いる事!」
一同「えー!?なんでですかー!?」
先生「それはな……」

俺が高校生の時、修学旅行は男だけの班でいったんだ。
そりゃあ楽しかったさ。女がいても邪魔になって好きなところ行けなくなっちまうから、これでいいやと思っていたさ。
でも、心の奥ではそのとき片思いしていたA子さんと班を組みたいとも思っていたんだ。

先生「それでな……A子さんはその時偶然同じ班になったヤツと付き合いだしたんだ……」
一同「……」
先生「御前らにはそんな思いはさせたくない。だからな、見栄は張るな。この班決めで好きなヤツと付き合えるかどうか決まると思え」

男「どうするよ」
友人「どうするっていってもなぁ。先生の言うことはわかるけど、俺は好きなクラスメイトがいるわけでもないし」
男「俺もだよ……誰か適当に女子捕まえるのもはばかられる雰囲気だしな」
クー「ちょっといいか?」
男・友人「委員長?」

クー「男の班にいれさせてもらいたいのだが」
男「おお、委員長なら大歓迎だよ。いやー先生があんなこと言い出すからさ、女子で誰を誘えばいいか困っていたんだ」
友人「委員長なら全然そういうのなさそうだしな。よろしく頼むよ」
クー「私は先生の言う事を聞いたからこそ男と班を組みたいと思ったんだがな」
男・友人「へ?」
クー「うむ、女子が君の班に殺到する先に入れさせてもらおうと思ってな。ライバルは少ないに限る」
男「それって……えーと……」
クー「交際を前提として、班に入れさせてもらうぞ」
 
 
ツン「わ、私も入らせてもらうわ(クーさんって男君の事狙ってたの!?私もなのに!)」
シュー「私もー(なんか面白そう……)」
友人「え、ちょ、4人までだから、俺も」
ツン・シュー「はい?」
友人「はい……わかりました……」

=====

「うまくいったな」
「そうだな、これで友人も安心だろう」
「まぁ、オレは御前がいるならいいけどな……周りの視線が痛すぎるな……」
「あまり気にしないほうがいいぞ……」

クー・ツン・シューにより班から抜けざるをえなくなった友人、しかしクーから出た

「合同班にすればいいじゃないか」

との意見。
しかし、俺達の班から突如飛び出てしまった友人を迎え入れてくれる班はなかった。
そこでクーが機転をきかし、女生徒に呼び掛けて友人を迎え入れてくれる班を見つけてくれたのだが……

「うちらの合同班って、男2人に女6人か……」
「ま、まぁいいんじゃないか?そっちの女性3人とは別行動なんだろ?」
「あまり大きな声で言うな、先生に聞こえたら……」
「すまん、クー」

俺、友人、クーの三人を見つめる周りの視線が痛い。
そりゃそうだ、俺等の班で6人も女生徒をとってしまった為、他の班は大変な状況だろう。

「男?どうした?」
「周りの視線が気になってな……」
「ふふ、気にすることはない。修学旅行が終わった時には男と私が寄り添っていても誰も気になどしないさ」
「あー……」

友人の班決めでてこずっていたからか、忘れていた。
クーは俺に告白紛いの事をしていたんだった。
今まで俺とクーに接点は無かったといっても過言じゃない。
もちろんクラスメイトとしての会話はした事はあるけれども、それ以上は何もない。

「未だに実感わかないんだけどさ、さっきのクーの話って告白だったのか?」
「意外と君は鈍感なんだな」

少し驚いた風に眉をひそめるクー。

「ああ、すまない。自分を棚にあげているわけじゃないんだ。私自身告白など経験がないから分かりにくくて当たり前だな」
「そうじゃなくて、告白だっていうのはわかっていたんだけどなんか信じられなくて」
「わかった」

そう言うとクーは口元を少し吊り上げ、心底楽しそうな表情で笑った。
俺はその瞬間、可愛いなと思ってしまった。
クーは委員長をしているからかあまり感情を表に出さない、そんなクーからこんな表情をされてしまっては……1発でノックアウトも仕方ない。

「もっと恋人らしく、わかりやすい行動をしないとな」

クーは俺の肩を持つとぐっと引き寄せる。
そうして、俺のファーストキスは突然に奪われた。

=====

放課後、疲れきった男に声をかける。
2人はあの後担任から
「御前らが一番俺の言うことをわかってくれている!二人で修学旅行委員をやってくれ!」
と言われ、放課後の会議に参加させられていた。難儀な事だ。

「友人よ、すまなかったな。それで、親睦会のほうはどうなった?」
「んー、確定しているのはオレと男とクーさんだけだな。一応ツンとシュー、オレの班の2人には駅前でカラオケやるよとは話しておいたけどさ」
「2人?後1人はどうした?」
「モクーさんだっけ?うーん、俺あんまり話したことなくてさ。モクーさんもあまりクラスのやつらと話したがらなそうだし。ホームルーム終わったらすぐに部活いっちまったから、次の機会でいいかなって思ってさ」

自分の席に座ってぐったりする男と対照的に、イキイキとした表情を見せるクーさん。
クーさんってこんなに表情を見せるヤツだったっけ?オレと話していてもちらちらと男の方に視線移すし。
なんか男が憎らしいわ、蹴ってしまえ。

「いてっ、何すんだよ」
「知らん、自分の胸に聞け」

自業自得とは言えないかもしれんが、クラスの男代表として蹴ることは問題ないだろう。
なおも軽く蹴り続けるオレに対してクーさんが話し掛ける。

「すまない、二度手間になるかもしれないがモクーを呼んできてくれないか?」
「んー、パスしたいなぁ。モクーさんて文芸部でしょ?オレは本に囲まれると圧迫されている感覚がするんだよ。それに男のオレよりクーさんが呼んできた方がいいと思うけど」
「いや、キミでなくてはダメだ。頼む」
「マジで?……あっ!オーケーオーケー、そういうことね。んじゃ行ってくるわ。御両人ともお幸せに!」

まったく、クーさんも男と2人っきりになりたければそう言ってくれりゃいいのに。
告白は直球でしたってのに、こういう所は奥ゆかしいんだな。
ささっと行って断られて、空き教室で時間でも潰すか。

文芸部、主な活動は規約によれば毎年16ページほどの文芸冊子を文化祭で発行する事らしい。
そして、今年の文芸部員は一名。モクーだけ。
やっぱり中に入るのはキツイなぁ……モクーしかいないんじゃなぁ……
まぁ仕方ない、クーさんが誘えっていったんだしオレは任務を遂行するだけさ。

「すいませーん」
「!!」

ドアを開けた瞬間バサバサッと大きな音が鳴る。
部屋の中を見渡すと驚いた顔のモクーさんと、その足元に散らばった本の数々。
モクーさんはおかっぱ頭で身長は低く、眼鏡をかけている。
いつも休み時間は本を読んでおり、誰かと話しているのはまったく見た事がない。
なのでモクーさんの声を聞いたこともないと言ってさしつかえないだろう。

「うわ、すまない。驚かせちまったか」

膝を折って本を拾おうとするモクーさんを急いで手伝いに行く。
ぱっと見てモクーさんの抱えている本の量と散らばっている本の量を足すと、とてもじゃないが持ちきれる量とは思えない。
モクーさんが片手と胸の間に挟んでいる本をひょいと取り上げる。

「これ、どうするの?」
「あ……そこの本棚に……」
「ん、わかった。それじゃオレ詰めていくからバケツリレーっぽく渡してくれ」
「う……」
「どうした?」
「ありがとう」

人と面と向かうのが苦手そうな見た目とはうらはらに、モクーさんはオレの目をじっと見つめながらありがとうとつぶやいた。
その目は純粋、少なくともオレの生きていた中で最も綺麗な目をしていた。
小さい口から紡がれる声変わりもまだかと言わんばかりの高い声は、オレの胸の鼓動を高ぶらせるには充分だった。

そんなオレの態度を気付かせまいと黙って作業をする。
全部片づけ終わると、モクーさんはオレに椅子をよこしてお茶を入れてきてくれた。

「ん、邪魔してすまなかったな」
「ううん……ボクの背じゃ届かなかったから、助かったよ」
「ぐっ!?」
「お茶、熱かった?」
「い、いやちょっと変な所入っただけだ」

漫画の中じゃありえることだが、まさか本当に自分の事をボクと言う女性がいるとは思わなかった。
しかし、なんというかモクーは『私』というよりも『ボク』と言ったほうがしっくりくるかもしれない。
理由は……ほら、まだ未成熟と言うか……な?
そんな思考を続けているとモクーさんから質問がきた。
 

「何かボクに用事があったの?」

そうだ、本題をすっかり忘れていた。
モクーさんにカラオケに行くかどうか決めてもらうんだった。
モクーさんには悪いけれど、さっきまではモクーさんがこないほうがラクでいいかなと思っていた。
でも、今はそんな事を考えてはいない。むしろ一緒に行きたいくらいだ。

「そうそう、うちら合同班って事にしたじゃん?それで親睦会って事でこれからカラオケいこうって事になったんだ」
「カラオケ……行ったことない」
「それじゃなおさらだ。一緒に行かないか?」
「……誰がくるの?」
「うーん、それがオレと男とクーさんの3人なんだよ。他のヤツラは全員用事あるってさ」
「そうなの……」
「そうなんだ。どうよ?」

モクーさんは右手で顎の付近を掴み、いわゆる考えるポーズを取る。
普通は深刻そうな雰囲気をかもしだすこのポーズなのだが、モクーさんがやるとなぜか可愛らしい。
そうして10秒ほどたったか、モクーさんは口を開いた。

「友人さんは」
「え?」
「班に好きな人がいるの?」
「いや、いないよ。先生が何か言っていたけどオレは関係ないさ」
「ボクは、いるよ」
「……?」
「ボクは、友人さんの事好きだよ」

担任の気まぐれとしか思っていなかったこの班決め。
どうやら最低でも2組はカップルを作ってくれたらしい。

=====

友人さんは背が高い。
ボクと友人さんが同じ歩数歩いたら、たぶんすごい差がつく。
でも友人さんはボクの歩幅に合わせてくれている。
ボクが友人さんのシャツを掴むのをやめても、友人さんはボクに合わせてくれると思う。
やっぱり、いい人だ。
友人さんにくっついて歩いていると、すぐに教室についた。

「おお友人、モクーも一緒か」
「あ、ああ。モクーさんも一緒にカラオケいくってさ」
「ふふ、誘ってよかっただろう?」
「そうだな。……予想外の事もあったけどな」

友人さんの言葉の最後の方、たぶん男さんやクーさんには聞こえなかったと思うけどボクにはしっかり聞こえた。
友人さんは、ボクの事を受け入れてくれた。
突然だったからびっくりしていたけれど、これからゆっくり付き合っていこうかと言ってくれた。
全部……クーさんのおかげだ。

クーさんのほうを見ると、クーさんはパチパチと左目だけを2回つぶって合図をくれた。

『告白は成功したか?』

ボクも左目を1度つぶり、合図を返す。

『成功、です』

クーさんはクラスの中で唯一ボクと話をしてくれる人。
ボクは背も小さいし、声も小さい。
趣味といえば読書くらいしかなくて、クラスの人の話もよくわからなくて入れなかった。
でもクーさんとは何故か話が合って、色々とおしゃべりをした。
その中で……もちろん恋愛話もした。

先生の話を聞いて、すぐに行動に出たクーさん。
すごいなと思った。
ボクもすぐに入ろうと思ったけど……ツンさんとシューさんが先に入ってしまった。
クーさんが誘導してくれなかったら、友人さんと同じ班にはなれなかったと思う。

「ふむ、友人よ」
「ん?何?」
「モクーを泣かせたら……どうなるかわかってるな?」

目を見開いて驚く友人さん。
ボクも少し驚いたけど、友人さんならそんな事はしない。

「大丈夫だよ、どんな事があってもボクは友人さんが好きだから」
「ふふ、それならいい。私も男の一生愛するつもりだからな」

男さんと友人さんが視線を合わせている。

おまっ、モクーさんと付き合いだしたのか!?
男だってクーさんとじゃねーか!御前にとやかく言われるすじあいはねー!
 
 

そんな二人を見てボク達は微笑んだ。
たぶん、修学旅行は最高に楽しくなる!

=====

「やっときたわね……って、な、なんで2人で手を繋いでるのよ!」
「い、いや、これはクーが繋げっていったからで」
「ツンちゃん、出遅れだねー」
「ふふ、宣戦布告ならば喜んで受けるが男を渡す気はないからな?」
「わ、私はそんな事考えてないわよ!勝手にしてれば!」

羽田空港に先についていたシューとツンへと挨拶をする。
ツンはあんな事を言っているが、男を狙っている事はバレバレだ。
シューに関しては……よくわからない。しかし寝首をかかれる可能性は否めない。
たとえ2人が男を狙おうとも、渡す気は全くない。
修学旅行中は正々堂々とシューやツンと戦い、修学旅行の終わった後、改めて男に聞くつもりだ。
誰と付き合うのかと。
もし……男が私よりシューやツンが良いといったら……
そう考えると胸が痛む。

「ん?クーどうした?」
「いや、なんでもない。そうだ、友人達はどうした?」
「あぁさっきメールが入って俺達の1本後のヤツに乗ったらしいけど」

モノレールから空港への連絡口を見やると、ちょうど友人とモクーが歩いてくるのが見えた。
今日も、モクーは友人の裾を掴んで歩いている。

「え?え?友人君とモクーさんって……」
「アツアツカップルさんだね」
「うむ、あの2人は班決め当日に付き合いだした。一番クラスで早いカップル成立ではないか?」
「よー、熱いね!この色男!」
「うっせー!御前なんかクーさんシューさんツンさんの3マタかけてんじゃねーか!俺はモクーひとすじなんだよ……っ」

友人の告白を聞き、一斉に私達の方へと視線を飛ばすクラスメイト一同。
しまったといった顔つきで口を抑える友人。
固まる友人の前にモクーがまわる、そして友人の手を口元から外させると……

キスをした。

「ともひとおおおおおおおおお!!てめぇえええええええええええ!!」
「キャー!!あの二人付き合ってたの!?」
「モクーさんって……あんなに大胆だったのね……」
「いや!友人とモクーさんが付き合いだしたのは許そう!おとこおおおおおおおおおお!!3マタだとおおおおおおおおおおお!?」
「そうだ!男死すべし!」
「男君、サイテー……」

友人には賛同の声、そして男には非難の声があがる。
しかし、男を悪く言うのは筋違いだ。

「すまない、皆話を聞いてくれ。男が3マタをかけているというのは間違いだ、訂正させてもらう」
「(ザワザワ)」
「私達は全員男の事が好きなだけだ、それにまだ付き合っているわけではない。この修学旅行中に親交を深め、最終日に決めてもらうつもりだ。それまでは見守ってもらえないか?よろしく頼む」
「委員長がそういうなら……なぁ?」
「そうだね。男っ!ちゃんと選びなさいよ!」

クラスメイトが私達を中心に集まってくる。
先生は遠くから私達を見つめ泣いている。
ツンは皆に対して別に男が好きなわけじゃないっと言っている。
シューは鞄から米菓子を取り出して食べている。
友人とモクーは皆からおめでとうと言われっぱなしだ。

私は、男に選んでもらえるだろうか。
いや、選んでもらうんだ。

「男っ!」
「わっ!?クー!?」

男に後ろから抱きつき、耳元でささやく。

「愛してるぞ」



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