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机の中を整理し、必要なプリントだけ鞄に入れて後は入れっぱなしにする。毎日学校にクソ重たい教科書なんか持ってこれますかっての。 今日も疲れた。外は暑いし、これは夕樹(ゆうき)とゲーセンでも行くしかないな。
「夕樹ぃ、ゲーセン行こうぜ」
「いいよ。あー、ちょっと頼まれ事あるから待っててくれる?三十分くらい」 夕樹は帰る準備をしながらも筆記用具だけは出して何処かへ行くようだ。
「また仕事押し付けられたのか?御前なぁ」
「たはは……用事あるって言われたからさ。僕は用事ないから」
「御前身長低いからなめられてるんじゃね?牛乳飲め、運動しろ」
「これは遺伝だから仕方ないって」 そういって少し困ったふうに苦笑する夕樹。
「わかったわかった、俺も手伝うからさっさと終わらせて行こうぜ」
「えー、それは智朗(ともろう)に悪いよ、」
「いいからいいから、ほら何するのか教えろ」
「ごめんね、じゃあ……」



「二時間もかかったじゃねーか……」
「ごめんね……」 結局学校を出たのは夜も迫る六時、ゲーセンに着いたのは六時半。あまり長くいると親に怒られそうだ。
「ま、しょうがない。ガンシューでもやってスカっとしようぜ」
「智朗うまいからね」
「御前のバックアップがいいんだって、敵の弾打ち落とすのマジ上手いし。思う存分敵を打てるってもんだ」 両替をしていると、肩に何かがぶつかる衝撃。何枚か百円玉をこぼしてしまう。 衝撃の元を見ると、カップルが一組。俺は女に方に見覚えがあった。
「咲(さき)か」
「久しぶりね」 そう言って俺を見る咲の視線は、一カ月前の物とも全く違っていた。嫌な物を見た、早くいなくなってほしい。そんな意味がこもった視線だ。 咲は振り向くと男と会話しながらプリクラコーナーに向かっていった。
「智朗……」
「ん、ああ、すまん。……違う店行こうか」


違う店でガンシューをしたが、今日は全然駄目だった。二面の半ばで死ぬなんて何カ月ぶりだろうか。 ゲーセンのベンチに夕樹と並んで座り、コーラを飲む。
「夕樹、すまんかった」
「気にしないでいいよ。また明日こようよ」 俺のせいで百円無駄にしたっていうのに、夕樹は笑っていた。
「夕樹が彼女だったらいいのにな……」
「へっ!?」 俺の口からついと言葉が出た、それを引き金にして俺の口からはどんどんと言葉が流れ出ていく。
「いやさぁ、マジで女って厄介だぜ!? 今日だって咲の顔見たろ、あれが女の本性。あそこまで冷たい顔する事出来るんだぜ! それにアイツ俺の事を昔のクラスメイトとか言ってたぜ」 少し困り顔の夕樹。
「もう別れたから仕方ないんだけどさ……いや、絶対夕樹が女だったら惚れるね。マジで」
「たはは、誉められてるのかよくわからないね」
「誉めてる誉めてる。あれだけ人に気をつかえて、しかも俺と一緒にガンシューしてくれる彼女とか居たら一生大事にするね」
「それじゃもし僕が女の子になっても将来安泰だね」
「おぅ、共働きでよろしくな」
「えー」 そんな他愛のない話、よくある馬鹿話。 それが現実になるとは思っていなかった。


朝いつも通り駅前で夕樹を待つ。 いつもは俺が待たせてしまっているのだが、今日は夕樹はまだ来ていない。 約束の時間が過ぎてもこない。もしかしたら風邪でもひいたのか? 後ろではおはよーとか言う声がしている、女子高生同士が待ち合わせでもしていたんだろう。 これは先に行った方がいいかな、このままじゃ遅刻しちまう。後でメール送っておくとするか。
「智朗!」 歩き出した俺を呼び止めるような声、でも全く声に聞き覚えはない。むしろ女の知り合いで俺を智朗と呼ぶヤツに心当たりはない。他の人間を呼んでいるだろうと気にせずに歩く。 少しすると後ろから腕を掴まれた。誰だ?
「もう、智朗、足速いよ……ちょっと待ってよ……」 そう言って肩で息をする少女。こんな背格好の知り合いはいないはずだが、何故か顔に見覚えはあるような気がする。
「あ、ごめんね。僕が誰かわかるかな?」 そういって俺を見上げる少女。ゆっくりと顔を見ると、夕樹の顔が思い浮かんできた。まさか!?
「夕樹……か?」
「わかってくれた!? ありがとう!」
「お、おい!?」 そう言って俺の胸に飛び込んでくる少女、まさか本当に夕樹なのか!?


突然男が女になってしまうという病気が現れだしたのはここ数年、あまりにも突然すぎるので医学界でも全く対処がとれていないという現状。それに夕樹がなってしまったのか。
「智朗なら、わかってくれると思ってた……」 そう言って一段と強く俺を抱きしめる少女。いや、夕樹だ。少女の持つ雰囲気と夕樹の持つ雰囲気が同じなんだ。 夕樹が落ち着くのを待って、俺は話しかけた。
「本当に女になっちまうとはな……」
「うん、朝起きたら女の子になってたんだよ。それでブレザーじゃいけないやと思ってお姉ちゃんに昔着てたセーラー服を出してもらってたんだ。お姉ちゃん同じ高校だったから」
そういってスカートの端をつまんでピラピラと揺する夕樹。その仕草はとても可愛らしく、元が男だったとは思えない自然な仕草だ。
「落ち着いてるな、俺だったらびっくりして一週間くらい学校休んでると思うぞ」
「僕もびっくりしたよ。でも、すぐに立ち直れた」
「そうか、凄いな夕樹は」 そう言う俺の顔を見て夕樹は首を横に振り、口を開いた。
「智朗が言ってくれてたから。僕が女の子になったら一生大事にしてくれるって」

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