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fallindrops

あらすじ

コンビニのアルバイトをしている大学生の原田の元に、毎日決まった時間に顔を出す制服姿の少女がいた。
彼女は原田にカサと呼んで欲しいと言い、おとなしそうな見た目とは逆に仕事中の原田をからかっては楽しそうにしていた。
ある日、原田がいつもどおりレジに居るとカサが店の前のゴミ掃除をしていた。
話を聞くと、捨てられていたゴミの中に欲しい抽選券が混じっていた為ついでに掃除をしていたのだという。
原田はカサから抽選券を預かり、規定の枚数を集めて応募をした。
そして当たった物がテーマパークのペアチケット。
少なからずカサに好意を抱いていた原田はカサと連絡を取り、一緒に出かける事になる。
雨の降るテーマパーク、二人の関係はどうなるのか。

まとめサイトに保管されているURLはこちらです。
http://sur.ifdef.jp/story7.html

#1

「やっぱり雨か……まあ仕方ないな」

 原田の口からそんな言葉がついて出る。
 午前九時三十分、千葉ねずみ園入り口。雨の降る中、多くの家族連れが幸せそうな顔をしながら入園して行く。
 今日思いっきり遊んでも明日は休み、そう考えて家族サービスしている父親も多いだろう。
 原田の隣を手を繋いだカップルが通り過ぎていく。
 両人ともにこれからの遊園地に期待を膨らませているようだったが、男の方からは少し緊張の色が見えた。
 おそらく遊園地内のデートコースを辿り、うまく最後までエスコートできるだろうかと言う緊張だろう。
 原田自身もそんな事を少しは考えていた。情報雑誌を読み、定番のデートコースを頭に入れもした。
 しかし、最終的にはカサにすべてを任せようと決めていた。
 御決まりのコースなんかでカサが満足するはずがない、そういう読みだ。

「待たせたね!」
「待ってねーよ。まだ待ち合わせの三十分も前じゃねーか」
「ほほう、私より早く来ていたのはどこのどなたかな?」
「……ここの俺だ」
「正解! さすが大学生、頭の回転が違うね!」
「ぜんっぜん誉められた気がしねぇ!」
「朝から怒ってちゃ身が持たないよ? 楽しくいこー」
「確かに、そうだな」

#2

 原田はふうっとため息を付き、顔の筋肉をやわらげた。
 二人は入り口でパスポートを見せ中に入る、その際にキャラクターがプリントされた特製レインコートを渡された。
 背の小さいカサにはいいが、おおがらな原田にはあまり似合わない。
 楽しんでいって下さいという係員の言葉に対し、はいっと大声で答えるカサ。その顔からは嬉しくて仕方がないといった様子が見て取れる。

「じゃ、最初は観覧車からいこうかー」
「は? 観覧車?」
「全体がよく見えるよー」
「いや、確かによく見えるけどよ……」
「駄目?」
「駄目ってわけじゃないが」
「もしかして観覧車に乗ったらトイレ行きたくなるとか」
「俺がどんな身体してると思ってるんだ」
「違うかぁ……もしかして高い所こわい?」

そういって口の端をあげ、片目をつぶり原田を見上げるカサ。

「そんな事ねーよ」
「大丈夫大丈夫、おねーさんが手を繋いでいてあげるから」

 そう言ってカサは原田の手を取り、ぶんぶんと振り回す。
 原田が困惑したのは高所恐怖症だからではなく、カサがいきなり観覧車に乗ろうと言いだした事に対してだ。
 観覧車はカップルが最後に乗ってムードを高めるポイント、それを最初に持ってくるカサの変わりよう。
 しかし、原田の顔は驚いていながらも笑みともとれる表情をしていた。

#3

「凄いスピードだったね!」
「確かにな……」

 今年新しく建設されたジェットコースター、十五歳以下禁止という制限付きな所で話題をさらっていて、もっとも人気のあるアトラクションだ。
 主な客が家族連れであるここならそこまで激しい物はないだろう、そうタカをくくっていた原田を迎えたのはジェットコースターマニアでさえ一日に二度乗る事は出来ないと評判の「ジェットコースターラブ」という乗り物だった。

「『素敵な恋を体感!?』だって、体感した?」
「何処が素敵なんだか説明をしてもらいてーな……」
「うーん……ああいう事じゃないかなー」

 そういってカサの指さした方向を見ると、休憩スペースのベンチにへたり込むカップルが三組も。
 いずれも男の方がダウンしており女性がそれを介抱してあげているという形だ。

「全く……倒れるんなら最初から乗るんじゃねーっての」
「原田さんは倒れないの?」
「あれくらいじゃ倒れねーよ」
「けちー、そこはばったり倒れるべき所だよ?」
「なんだそりゃ」
「介抱したかったなー」

 そう言ってカサは口を尖らせて不満をあらわにした。

#4

「少し早いがメシにするか」
「めしかー、それもいいねー」
「せめてご飯って言え。全く、少しは女らしくしろって」
「女性差別反対。めしもご飯も同じ意味だから問題ないよ」
「了解了解。で、何処にするよ?」
「そこは原田さんがひっぱってくれなくちゃあ。これは女性としての権利です!」
「さっき差別がどーのこーの言っていたのはこの口だろうが!」
「ほほぅ、だったら塞いでみたらどーだね?」
「なっ……」

 そういってついついと人差し指で唇を指さすカサ。

「するわけねえだろ!」
「ありゃ、それは残念っ」」

 そう言いながらも原田の視線はカサの唇へと向いていた。
 赤く、柔らかそうで、よく喋りよく動くカサの唇。
 唾が飲み込まれ、原田の喉が鳴った。

#5

 そんな原田の心情をよそに、カサが口を開く。

「あ、そこに係員さんがいるよ。何処かオススメがあるか聞いてみようよ」

 カサの視線を辿ると、透明のレインコートの下にアミューズメントパークらしくピンク色の可愛らしい制服を着た女性係員がいた。
 ローラースケートを履いて敷地内を走り回り、落ちているゴミの回収や迷子の案内等をする役目だろう。
 カサが彼女に向かって手を振ると、それに気づいたのか彼女は原田達に近づいてきた。

「どうしたんですか~?」
「めし!」
「まぁ待て、それじゃ伝わらない。何処かオススメの昼食場所はありますか?」
「そうですね~、ちょっと待って下さい」

 彼女は手元の端末を操作しだした。おそらく店の混雑状況をチェックしているのだろう。
 胸元に付いているカードには『詩辺』と書いてある。

#6

「はい、あそこに煙突が見えますよね? あそこが『アニマル’sホームパーティー』というお店で、今ならゆっくり座れると思いますよ」
「ありがとうございまーす」
「いぇいぇ。素敵な彼氏さんですね~。私もいつかお仕事じゃなくて素敵な人と遊びにきたいです……」
「俺は彼氏じゃないですから! ただの付き添いですよ」
「そうなんですか?」
「原田さん、照れ隠しだとしても傷つくよ?」
「まだ痴話喧嘩するには早い時間かと思いますよ」

 詩辺とカサは息の合ったコンビのように原田をつつく。

「あーもう! 行くぞ!」

 原田はカサの手を引き、話を打ち切らせる。

「いってきまーす」
「お幸せに~」

続く

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