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[C20]

わーい、僕の作品が載ってるよー。
……本当に載ってるよ!?
ありがとうございます。
こうして見ると分量多っ!
  • 2006-04-10
  • 投稿者 : 80だか124とかの奴
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[C21]

コメント開くまで

「勝手に転載すんなやボケェェェェ!!」

とか書いてあるのかと思ってひやひやしてました……
分量多いですねー、見習いたいところです!!

これからもよろしくお願いしますよ。

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80=124さんの作品

それは、入学式から数日後の夕日が綺麗な放課後の事だった。

まだ分からない事ばかりだが中学時代からの悪友のお陰か、クラスには馴染めて来たと
言う状況の
俺はその日、屋上に向かって階段を上っていた。……何故かって?
理由は言わずもがなだろう。高校の屋上、それは男の夢っ!!
数々のゲーム、漫画においてキャラが授業をサボったり、お昼ご飯を食べる為に使う言
わば聖地。
実際には鍵がかかっていたり、立ち入り禁止だったりと使えない事が多いのだが……。
まあ、物は試しだ。そう考えた俺は人が少なくなる放課後を待っていたのだ。
しかし、その時の俺はまだ知らなかったんだ。まさかそこに人が倒れているなん
て――。

「以上、回想終了。うんうん、なかなか王道な展開だ」

倒れてる人を見て、焦っていた俺の心も落ち着きを取り戻した。
さて、目的通り屋上にも入れたし帰るとするか。……って、待て。何か、大切な事を忘
れてるぞ。

階段の方へ向かう足を止め、慌てて振り返る。
そこにはやはり人が倒れていた。女の子が仰向けで。
あー、うん。とりあえず、意識を確認せねばなるまい。

「あ、あのー。大丈夫でしょうか?
 もし大丈夫じゃないなら返事をしてくださーい」

返事なし。よし、この人は無事だ。さぁ帰ろう。
……って、待て待て。返事が無いって事はヤバいじゃないか。
こ、これは保健室に運んだ方が良いのか?
仕方ない、ここはいわゆるお姫様抱っこで彼女を……。

「……ん、ふぁーあ」

あれ、もしかしてお目覚めですか?

「んー、あれ?」

あ、目が合ってしまった。綺麗な人だなぁ。先輩かな?
ん? えと、こういう状況に陥った場合、相手は俺の事をどう思うのだろう。
やっぱり変態確定なのだろうか。

「あ……あはははは。おはようございます」

あぁ、終わった。俺のハッピーな高校生活ライフは終わったのだ。
変態と皆から後ろ指をさされて生きていかねばならないのだ。

「……ん、おはよう」

ほら、彼女もおはようって俺に挨拶を……っておはよう?

「とりあえず、降ろして」

そうは行くかっ!
ここで離せば走って逃げて、きっと皆に痴漢にあったとでも言いふらすつもりだろう。
いや、降ろさなかったら変態確定なので素直に降ろすが。

「あ、すみません」
「……じーっ」

効果音をつけながら睨まれてます。これは品定めと言うやつでしょうか。

「あ、あの……」
「私と君は知り合い?」
「いえ、知り合いではないかと思われます」

こんな可愛い知り合いはいない……はず。初対面だと俺は思う。

「じゃあ、何でここに?」
「屋上は男の夢だからっ!!」

……しまった。正直に答えすぎた。

「おぉ、納得した」

しかも何故か納得されてしまった。こんなんでいいのか?
いや、もしかして逆に変態だと確信されてしまったのだろうか。……話を逸らそう。

「そ、それはさて置き。貴方様は何故ここでお倒れになられていたので御座いましょう
か?」
「倒れていた?」
「はい、それはもう清々しいくらいに」

思わず、回想シーンに突入してしまう勢いで。
あ、本人にもよく分かってないっぽい。
制服を軽くはたいて、ショートの髪を整えながら「んー」と唸ってる。

「……あ、そうだ、忘れてた」

そう言うと彼女は階段の方へ向かい……って、帰っちゃった?
あ、戻ってきた。……何だアレ?
ずるずると何かを引き摺って戻ってきました。

「これでよし」

そして彼女はその物体に潜り込み、そのまま帰らぬ人と……。

「じゃなくて、それ、布団じゃないですか!」

どう見ても、布団です。本当にありがとうございました。
見紛う事なき布団。どっからどう見ても布団。

「……ぐうぐう」
「も、もしもしー!」

肩をゆさゆさ。あ、起きた。

「……私は君と知り合い?」
「先ほど、お眠りになられる前に知り合ったばかりです」

何度見てもやっぱり今日が初対面だと思う。

「じゃあ夜這い?」
「それは想定の範囲外の結論ですね」
「違うの? ……それは残念」

それはつまり夜這いOKと言う意思表示ですか?
未だに貴方と言う人が掴めないのですが。
しょうがない、まず先に疑問をに答えてもらおう。

「えーとですね。何故、このような場所でお眠りになられているのでしょう」
「屋上は男の夢だからっ!!」
「おぉ、納得……出来る訳ないじゃないですか!!」

あれか、もしかして彼女は天然系美少年で俺は今まで女の子と間違えていたという事なの
か。
……いや、そんな訳あるまい。それに、確かに屋上で眠るというのは男の夢だ。
だがしかし布団まで完備しているとは並大抵の男の夢レベルではないぞ?
……出来るっ! 彼女はそこいらの男より遥かに出来るっ!

「そんなに褒められると照れる」

か、顔に手を添え、ふるふるするとはっ!
萌えポイントを把握している。やはり只者ではないっ!
……って、心が読まれてる!? もしかしてエスパーなのか!

「ESP保持者と呼んで。そっちの方がカッコいい」
「ああ、すみませんでした。……って、また読まれた!?」
「ぶぃ」

Vサインまで決められた……。ふっ、負けたよ。
アンタにゃ勝てねえ。俺もここまでの人間だったという事だな。

「全部、口に出しているという王道展開は予測出来なかった?」
「しまったぁぁあ!! それがあったか!」

不覚だ。一生の不覚だ。もう師匠に顔向け出来ねえ。師匠なんかいないけど。

「……そして朝食は米派だ」
「な、何故お分かりになられた?」
「君の制服の残り香で」
「それが昼食でないと言う根拠は?」
「私のお米への愛がそんな障壁ごとき打ち破る」

やはり彼女は只者ではない様だ。……何か間違ってる気がするが。

「米派だったからさっきの事は許す」
「えと……お姫様抱っこの件ですか?」
「夜這いの件です」
「いや、夜這いはしてませんよ、ESP保持者様」

この人はどうしても俺に夜這いさせたいのだろうか。

「ちなみにパン派だった場合はどうなるのでしょう?」
「1年間、農家での職場体験コース」
「それを断ったら?」
「夜這いされたと言い触らす」

あぁ、お父様、お母様。俺は毎日美味しいお米が食べられて幸せです。
お陰で無実の罪をきせられないで済みました。

「……じーっ」

またも見つめられてますね。効果音つきで。

「あ、あの。何でしょう?」
「自己紹介」

なるほど、すっかり忘れていた。

「俺は修です。秋月修、ピカピカの高校一年生」
「ふむふむ、そうか」
「はい、そうです」
「……」
「流れ的に貴女に自己紹介して頂けると嬉しいのですが」
「ん、ああ、ごめん」

流石だ、予想通りに行かないのが彼女なんだな。何となく把握した。

「私は修です。水上修、ピカピカの高校三年生」
「…………はい?」

あれ? 嘘、マジでこのお方は男性でイラッシャリマシタカ?
それとも、修という名の女性の方かしら。

「あ、字が違った。修じゃなくて秋。
 親は『あき』と名付けたつもりみたいだけど」

まったく、字間違いはしちゃ駄目ですよ。
……会話してるのに字間違いとかあるのか?
ま、まあそういう日もあるんだろう、うん。

「と言う訳で私の事は 『しゅう』って呼ぶ事。
 むしろ『シュー』と呼びなさい」
「い、イエッサー」

サーって男に対する敬称だったような。よかったのか?
まあいいか。俺なんかよりも完全に男レベルが高いし。
……女としてのレベルも高いみたいだけど。可愛いなぁ。

「ちなみに軍隊では性別に関係なく、強調としてサーを使うのが一般的」
「これは一つ勉強になった。……って、また俺口走っちゃった!?」

という事はつまりですね。
可愛いとか言ったのも全部聞かれてたりする訳ですか。

「私の男レベルと女レベルどっちが高い?」
「そう上目遣いされると、やっぱり綺麗な女性だと
 強く感じてしまいますので、どちらかと言えば……。って、何を言わせるんです
か!」
「……もっと平均的にレベルを上げないと後半の戦いが辛くなるな」
「RPG?」

恥ずかしい事を言ってしまった気がするが
上手く話が逸れたので、よしとして置くか。

「さて、修副部長君」
「修復部長?」
「入部したところで早速、一緒に部活動をしよう」
「はい、ではお言葉通り部活動を…………部活動?」

俺、まだ何処の部にも入ってないよね?
木工ボンド部がちょっと気になったくらいで。

「今日は布団が一つしかないから、はいどうぞ」
「ああ、どうも。よいしょっと。……って、これ添い寝状態じゃないですか!!」

これはつまり先輩のふにふにをこの身を持ってして味わうという部活……な訳あるか!

「せ、先輩。これの何処が部活なんですか!」
「動くと寒い。それから先輩じゃなくてシューと呼ぶ事」

あぁ、捕まってしまった。と言うか抱きつかれてしまった。
……待て。これじゃ完全に変態さんまっしぐらじゃないか。
誰かに見つかりでもしたら大変な事にっ!

「大丈夫、ここは何時もは鍵を掛かってて誰も来ないから」
「ああ、それなら安心。……じゃないですよ! 大体、現に俺が来てるじゃないです
か!」
「……君の様な人は初めて」

そりゃあそうか。この俺の偉大なる男の夢を理解してくれる人なんて数少ないもんな。
それにもう夕方だし。あーあ、夕日が眩しい。お陰で今の俺の顔は赤くなってるんだろ
うなー。
サラサラの髪からいい匂いがして、ドキッとするや、あはは。

「同じ布団で寝ていて、しかも抱きつかれていると言う
 とっても辛い状況には何とか納得したので、そろそろ何の部活動か教えて下さい」
「辛いの?」
「男として何かを我慢できなくなりそうです。先輩はからかってるだけなんでしょ
う?」
「……それはどうかな」

先輩が只者じゃ無い事はよく分かったから
きっと感性も只者じゃないんだろうな。これは先輩の中ではあくまで部活動なのだろ
う。

「ともかく先輩ではなくシューと呼ばないと、夜這いの件を言い触らす」
「分かりましたから、お待ちくだされ、シュー様っ!」
「ん。それから部活動は、もっと真面目にする事」
「了解しました。で、何の部活なのですか?」

散々話が逸れてきたからな。そろそろ聞かせてもらわねば。

「それは……」
「はい、それは?」
「…………ぐうぐう」

うわ、また眠られてしまった。もしかして居眠り部とかなのか。
それはそれでまた、男の夢レベルが高い部活だな。何はともあれ、再び肩をゆさゆさ。
あ、起きた。

「ん? ……私は君と」
「先輩後輩関係で何故か同じ部活に所属していますが、今日が初対面でございます。
 で、肝心の何の部活なのか、と言う質問の返答待ちの真っ最中でございます、シュー
様」

先手ゲット。先読み完璧。自分でも惚れ惚れするくらい上手く言えた。……息がヤバい
が。

「んー、そうだった。えっと、この部活はね」
「はい、この部活は?」
「居眠り部」

来た、ビンゴぅ!! 今日の俺は冴えてるぜ。

「……だと思うような奴は農家に謝れっ!」
「ナヌっ!?」
「正解はお米部。正式名称は、『屋上で布団を敷いて熟睡。水上秋はお米の夢を見る
か?』部」

ど、何処からツッコめばいいんだ。
隙が無い。全く隙が無い。やはり只者ではない。
何で農家に謝らないといけないのかが分からない!

「君が入ったから、部活名を変えないとね」
「そんなに簡単に変えられるって事は、やっぱり正式な部活じゃないんですね?」
「……お米の力を馬鹿にすると痛い目をみる。
 大抵の人は大量のお米を前にすれば目が眩み何でも言う事を聞くようになる。
 そんな薄汚れた奴を私は今まで何人も見てきた」
「……そんな人、あんまりいないと思うのですが」

あんまりとしか言えないのが怖い。
先輩の様に米への執着心が高い人がいないとも言い切れない。
でもまさか米をエサに顧問を捕まえたなんて事はない……とも思えないのが先輩か。

「侮るな! 油断は禁物だ」
「それに、先輩……シューさんは薄汚れてなんかいないでしょ?」
「わ、私がお米で何でもいう事を聞くと思ったら大間違いなんだからねっ!」
「ほら、動揺してツンデレになってます」

こういう時は照れるのね。……やっぱり可愛いな。

「とにかく部活動を再開するから君も眠りなさい」
「まだ活動目的が掴めていませんが、了解しました、シュー部長」
「うん、宜しい」

何やってんだろうな、俺。
高校に入学して屋上に来てみたら、女の子と布団で添い寝ですか。
しかも気付いたらに部活に入部させられてるし。まったく、意味が分からないよな。

「あ、大切な事を忘れてた」
「はい、何ですか?」
「私がもしお米の夢を見ていたら、カウントして。
 自分でカウントしようとすると夢の内容を忘れてしまう事があるから」
「え、どうすれば俺が米の夢を見てると分かるんですか?」
「……ぐうぐう」
「寝るの早っ!」

でも空に浮かんでる夕日が綺麗で、そして隣に可愛いけど変な先輩が寝てて。
しかも俺に向かって幸せそうに寝息をたててなんかしたりするとだな。
これからどんな高校生活になるのかなと少しドキドキして来たりなんかする訳だ。

「悪くない……よな」

うん、悪くない。この先、もし部活動とやらが続くなら
シュー先輩に振り回されっぱなしになるだろうし
きっと先輩は俺の事なんか微塵も意識してないんだろうけど悪くない。
先輩の温もりを感じながら、俺はそんな事を思った。

「……お米、お米」
「なるほど、これならカウント出来る」
「あきづき……しゅ、う」
「も、もしかして俺の夢も見てくれてる?」
「そっちは米の底無し沼だー。あ、沈んでった。……羨ましい」
「……楽しそうな夢を見ているようで」

==========

「水上秋先輩かぁ……」

一日経った今考えると、昨日の事が夢のように思えて仕方ない。
あの後、日が完全に沈んで寒くならない内に先輩を起こして
そして明日も放課後に屋上で部活動をするからと言われた記憶は確かにある。

「でもなぁ……」

冷静になって考えれば、あんなに可愛い先輩が初対面の俺と添い寝をしていたとなる訳で。
しかも抱き着かれたり、お姫様抱っこしちゃった訳で。

「うん、あれは夢だ、幻覚だ、妄想だ」

そう自分に言い聞かせてるのに。

「何故、俺は屋上にいるのだろう」

そしてそこには夢でも幻覚でも妄想でもなく間違いなく、先輩が布団で寝ているのだった。

「……さて、起こすべきか起こさぬべきか」

それが問題だ。でも起こさないと素直シュールな話にならないしなぁ。
って、そんな舞台裏の話は置いといて。

「仕方ない。今日も必殺技の肩をゆさゆさで……」
「緊急事態発生! 緊急事態発生!」

な、何だ!? 敵襲か! 宇宙人の侵攻か!
それとも全然素直シュールじゃない展開にスレ住人がお怒りか!

「動くな!」
「ホワァット!?」

首筋に何やらひんやりとした物が当たってますよ。もしかして銃口ですか、銃口なんですか!?
こ、これが噂のバットエンドか。何処で選択肢を間違えた?
あぁ、そうか。先輩の出番を俺が潰してるのがいけないのか。
それだったら別に俺、最初から出さなきゃよかったんじゃ。
い、いや諦めるのはまだ早い。ここは何とか生き残って……。

「バーン!」
「う……ぐっ……お、俺は……ここで終わるの、か」

あぁ、意識が遠くなる。もう長くはないんだな。

「安らかに眠りたまえ」
「……って、何やってるんですか、シュー先輩!」

えーと、状況確認。目の前には先輩が。
その右手には銃ではなく、スプーンが。そして俺は何時の間にか布団の中に。

「いい子、いい子」
「あ、頭を撫でられると恥ずかしいですって!」
「子守唄、歌おうか?」
「あー、それは是非ともお願いします。……い、いえそうじゃなくて」

「んー」と首を傾げられてもなぁ。とりあえず、最初から説明してもらわなくては。


「第一の質問です。さっきの緊急事態発生! って、あれ何ですか?」
「お米部専用目覚まし時計」
「ああ、それなら納得……出来ないですよ!」

お米部恐るべし。

「ちなみ私に生命の危険が迫った時になる仕組み」
「危険?」
「……君から殺気がした」
「殺気?」

俺はただ肩をゆさゆさしようとしただけの筈だけど。

「最近のは全然必殺じゃないけど、それでも大ダメージなんだからねっ!」
「そんな簡単に倒せたら、ゲームバランスがめちゃくちゃですからね」

……って、あ、そういう事か。必殺技だったのがいけなかったのか。

「そして、身の危険を感じた私は咄嗟に得物を抜いて反撃」
「スプーンで反撃するのもどうかと思いますよ?」
「早とちりした君は銃と勘違い」
「……思考回路はショート寸前でしたよ」
「ゴメンね、素直じゃなくて」
「素直分はともかく、シュール分はたっぷりなんですけどね、シュー先輩」

ネタにネタで返してくるところとか、まさにシュールだと俺は思うんだ。

「で、第二の質問です。怯える俺にバーンは酷いんじゃないですか?」
「……バキューンの方が良かった?」
「いや、効果音の問題ではなく」
「バキューンタイム、スタート!」
「ど、どちらの選択肢が好感度UPするんだ! ……って、某双子ゲームのアレですか!」

元ネタを解説しないと分からないようなギリギリのネタは
使わない方がいいと思うんですけど、先輩。

「拳王に後退はない」

男らしいです、先輩。でもそれは女子高生が言う台詞じゃありません。
……気にせず、次の質問に行こうか。

「第三の質問です。何故、俺は布団の中にいるのですか?」
「早とちりで演技派な君は撃たれて布団にダウン。安らかな眠りについたのでした、終わり」
「あはは、そうだったのかー。これで謎は全て解けた。じゃあ、お休みなさいー」

何だかんだでノってた自分から逃避。あぁ、枕が柔らかい。

「お休みー」
「……って、何してるんですか、シュー先輩っ!」
「男の夢、膝枕」

男の夢をよく分かってるなぁ。うむうむ、流石先輩。……いやいや、そうじゃなくて。

「先輩……」
「動いちゃ駄目。部長命令」
「で、でも……」
「部長命令」

物凄く恥ずかしいのですが、動いては駄目ですか。そうですか。
し、仕方ないからこうしてるんだからねっ!
別に好きでこうしてもらってる訳じゃないんだからっ!
……止めよう。一人で脳内ツンデレ繰り広げても虚しくなる。

「わ、分かりました」

あぁ、いい匂いがするんだよな。女の子の匂いって奴?
でも勘違いしちゃいけないんだ。これは俺が好かれているからじゃない。
これはきっと先輩が……水上秋先輩がそういう人だから。

「ん、宜しい」

笑顔なんか浮かべちゃって無防備だなぁ。俺じゃなかったら襲ってるぞ、多分。
……そうだよな、多分他の男にもやってるんだよな。
少し胸がチクリとする。ヤバイな、会って二日目。時間にして数時間。
なのにどうも惚れ始めてるみたいだ。……落ち着け、俺。
まだ俺は先輩の事をほとんど知らないしな。せいぜいお米が好きで少し変わってる事くらいしか。

「ふぅ……」
「疲れてる?」
「いや、大丈夫ですよ。で、結局部活と言うのは何をすればいいんでしょう?」

また、先輩が米の夢を見るかどうかを、俺が確かめるというあれをやれば良いんだろうか。

「その事に関して重大発表があります」
「……何っ!?」
「では耳の穴をクリーニングに出してよくお聞き下さい」
「わぁ、それは大変。あそこのお店、今日は閉店時間が早いのよねー。
 ……って、出来ませんよ、流石にそれはっ!!」

……かっぽじって、て言いたいんだよな。
決して俺の耳を驚きの白さと柔らかさにする策略じゃないよな。

「出来ないの?」
「期待の眼差し攻撃されても無理です」
「という事は仕方ない」
「諦めてくれましたか」
「じゃあ私が耳掻きでクリーニングするという方向で」
「ええ、前向きに検討させて頂きます。……って、どっから出したんですか、それ!?」

宮本武蔵をも圧倒しそうな勢いで二本の耳かきを構えてる先輩。
事前に準備してたのね、この人。うむ、流石男の夢レベルが高い人だ。
……いや、驚くべきはそこじゃない。

「ほーら、男の夢、女の子の膝の上で耳掻きイベントが出来るんだぞー」
「ああ、洗脳されて思わずお願いをしてしまいそうに……。だ、駄目ですって。耳掻きイベントはっ!」
「駄目なの?」
「そういうのは彼氏とか意中の相手とかにしてあげて下さいっ!」
「……君にそこまで言われてしまったら、諦めるしかない」

少し残念だが俺は間違ってないはず。……あぁ、ごめん、嘘ついた。途轍もなく残念。めっちゃ悔しい。
それに彼氏や意中の相手……なんて、そこで諦めたという事はやっぱりそういう人がいるって事なんだろうな。

「じゃあ、代わりに重大発表がちゃんと聞こえる様に耳元で囁くという事で」
「……」
「……あれ、慌ててくれない?」
「は、はい、何でしょうか?」
「むぅ、やっぱり何かおかしい」

いや、おかしいのは俺じゃなくて先輩……って何考えてるんだ。えっと、俺が何かおかしな事したかな。

「……では重大発表を始めます」
「あ、はい、お願いします」

そうだった、話が逸れまくって忘れてた。

「実は……何をすればいいか分からなくなってしまいました」
「……もう少し詳しくお願い出来ますか?」
「この間、私がお米の夢を見る事が判明したのでやる事がなくなった」

お米部。確か正式名称は『屋上で布団を敷いて熟睡。水上秋はお米の夢を見るか?』部。
そして昨日、俺が先輩が米と呟いているのを確認したから……そういう事か!

「謎は全て解けた!」
「流石だな、明智君」
「……台詞的にはそっちじゃない様な?」
「理解してくれたのなら細かい事は気にする必要は無い」

ま、いいか。意味が通じるのならば。理解できるのなら。
……先輩と会話してると尚更そう思う。分かり辛い表現を使ってきたり。
でもきっとそれは悪い事じゃない。個性の一つなんだろう。


「そこで君も部活に入ってくれた事だし、やっぱり部活名を変えたいと思う」
「簡単に変えられる事にはもうツッコミを入れません。……どんな名前にするんですか?」
「それが問題なんだ」

俺は未だにこの部活の発足理由すら分からないのに、先輩に悩まれるとなぁ。
名前でやる事が決定してしまいそうな勢いだし軽い気持ちで意見を出すと大変な事になりそうだ。

「名前の何処かにお米を入れるのが歴史ある部の伝統なんだが」
「……何時からあったんですか、こんな部」
「私が入学した時に作った」
「二年間近くもやってたんですか!?」

と言うか、高校に入ってすぐですよ。行動力高すぎですよ。
パラメーターが最早高校生レベルじゃないですよ。

「去年、部活中に知り合ったスズメにでも相談してみようか」
「あ、名案ですね、ではそうしてみましょうか。……ん、今さらりと凄い事言いませんでしたか?」

もしかして動物との会話能力保持者様?

「お米をあげたら懐いた。呼ぶと飛んで来てくれる、私の友達」
「そうだったんですか、素敵な話じゃないですか」

鳥と友達なんていきなり言われたら、何を言ってるんだと思うかも知れないけどさ。
そういうのって俺は素直にいいなって思う。

「俺も一度会ってみたいなー」
「……食べても美味しくないよ?」
「分かってますって、スズメは獲れる肉の量が……って、言われなくても食べませんよっ!」

待て、その前に今、俺は何を口走ろうとした。
これじゃいかにもスズメを食べた事がある人みたいじゃないか。
べ、別に食べた事なんて無いんだからね!
朝、昼、ご飯を食べてなくてお腹が空いてた時に美味しそうに見えたなんて事ないんだからっ!
ちなみに小鳥の中では美味らしい。……た、食べないですよ?

「パン買って来いとか言っても買って来れないよ?」
「スズメ目ハタオリドリ科の鳥に……と言うかシュー先輩の友達にパシリなんかさせませんって!」
「パンの場合は私が全力で阻止するから」
「……パンの場合は、ってどういう事ですか?」
「ご想像にお任せします」

別の物ならいいのですか、先輩?

「ちなみにプランクトン」
「……え?」
「スズメの名前」
「何故、その様な名前に?」
「……食物連鎖って怖いよね」

ええ、そうですね。俺がスズメを食べたり。……いや待て。だから食わないって。

「ともかく部活名の事は宿題にしておきます」
「流れを完全に無視ってますけど、了解しました」
「……」
「どうかしましたか?」
「そうだ、思い出した」

果てさて、何を思い出されたのでしょう、このお方は。

「取り出したるは二本のスプーン」
「あ、それ何の為に持ってたんですか?」
「当ててみて」

普通に考えれば食事する為だよな。普通に考えれば。
分かっている、正解が普通では無いであろう事は。
……そ、そうか! スプーンが二本という事は先輩のと俺の分。
つまり一人につき一本。他に道具を持っている様子はない。そこから導き出される結論はっ!

「ちなみにスプーン曲げする為じゃない」
「スプ…………。いえ、何でもありません」

自信満々だったのに、見事に先読みされた。何故だっ! 俺の考えが浅かったと言うのか!
いや、理由は簡単だ。坊やだからさ。……って、全然カッコよくないぞ、俺。

「ごめんなさい、正解を教えて下さい」
「正解はスプーン曲げをする為」

何っ!? だ、騙したのか!
純真無垢の穢れ無きピュアなハートの俺を騙したというのかっ!
……すみません、言ってて恥ずかしかったから今のは無しで。

「膝枕されてるのは恥ずかしくないの?」
「そっちの方は行数が大分空いてるんで忘れてました。……って、そうだった!」

俺、膝枕されてるんだ。……意識してしまうと恥ずかしい。
……って、あれ、また俺喋っちゃってる?
くそぅ、恥ずかしさで人が殺せるならっ!
……待て、そうしたらこの場合は自殺になってしまうのか? うん、自殺はイクナイ。止めよう。

「やっぱり面白い」
「何がですか……って、だから頭を撫でられるのは恥ずかしいですって!」
「表情がころころ変わるから実験し甲斐がある」
「か、からかってるんですね!?」

手玉に取られるのは悔しい。
悔しいけど……悪くないと思ってたりするのは先輩には内緒。

「んー、ちなみにさっきの正解だけど」
「あ、そうですよ先輩。俺の事、騙しましたね!?」
「正解はスプーン曲げをする為だと勘違いする君に
 先に答えを言ってしまう事で、落ち込ませて、そしてその顔を私が楽しむ為」

多重に巧妙に仕組まれた罠だったという事か!!
完全に騙されたぞ。しかも二回も。こいつぁ、おったまげたぜ!

「はぁ……シュー先輩には敵いませんね」
「そうでもない」
「そんな事ありませんって」

何をやっても負ける気がする。
特にプチプチ君早潰しとか米粒数えとかでは圧倒的な差で。

「……うん、決めた」
「何をですか?」
「部活名」

わーい、宿題が無くなって嬉しいなー。……ん、ちょっと待て。決まっただと?

「ど、どんな名前ですか?」
「ふふふ、聞いて轟くな」
「惜しいですが、多分驚くなの間違いですよ、シュー先輩」
「そういう指摘をするのが修復部長の役目」
「いえ、修副部長ですって」

しかも修復って壊れてるものを直すって意味なのに。字間違いとかはカバー出来ませんですよ。

「さて、名前だけど」
「あ、軽くスルーされた」
「お米部。正式名称は、『秋月修の百面相の謎をお米好きの水上秋が解決しつつ、屋上で熟睡』部」
「……百面相の謎?」

長すぎる正式名称は予想通りだったけど、謎って何だ?

「君はころころ表情が変わる。これは実に興味深い」
「シュー先輩に手玉に取られてるせいだと思います」
「という訳で、私はもっと君の事を調べたくなった」
「あ、またスルーされてる。……って、何ですとぉ!?」

こ、これはお前の体を隅々まで調べてやる、ぐへへ。とか言う展開!?
「初めてだから、優しくして下さいね」って言うべきだろうか。
それとも、「嫌っ! 止めてっ!」とか言う方が先輩の好み……って、何考えてるんだ俺は。

「そんな部活動っていいんですか! 成立しちゃうんですか!?」
「私に出来ないことなんて、無い……、って言ってる私もいたし」
「それは先輩じゃなくて別の素直シュールさんですよ!」

こんなん部活ありなんだろうか。あるんだからあるんだろうけど。

「あー、本気なんですね?」
「男に二言はない」
「……男らしいです、シュー先輩」

もうどうにでもなれ。つまりはこういう事だろ?
先輩の玩具になって、からかわれまくれという事なんだろ?
……あれ、それってよく考えたら美味しいポジションなんじゃ。

「明日からも宜しく」
「……はい、分かりました」
「ん、良かった」

……まあ、今はいいか。俺が先輩に惚れそうだとか。
他の人にも同じ様に接してるんだろうと思うと嫌だと思う事とか。

「……少し疲れたかな」
「眠ってもいいよ?」
「……すみません。そうさせてもらいます」

今はただ、先輩の膝を枕にこうして眠れるだけで俺は……幸せなんだから。

「お休みなさい、シュー先輩」
「……ぐうぐう」
「って、膝枕しながら俺よりも先に寝てるっ!?」

あぁ、全くこの人は想像を裏切ってくれるんだから。

2件のコメント

[C20]

わーい、僕の作品が載ってるよー。
……本当に載ってるよ!?
ありがとうございます。
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「勝手に転載すんなやボケェェェェ!!」

とか書いてあるのかと思ってひやひやしてました……
分量多いですねー、見習いたいところです!!

これからもよろしくお願いしますよ。

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