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Named star

居間に入ると食卓には人数分のカレーとポテトサラダが並べられていて、空音さんはもう席についていた。

「すいませんお待たせしました」
「それは構わない、夫もまだきてないしな。ちゃんと食べる前には手洗いうがいをやってもらわないと、夫が病気でもしたらたまらないからな」
「はぁ……」

この親にして、この子ありといったところか。納得。

「待たせたね、それじゃ頂こうか。いただきます」

俊夫さんに続いて皆いただきますと言い昼食が始まる。
向かって正面に俊夫さん、俺の左に秋音、左正面に空音さんという座席だ。
しばし無言でスプーンと食器がぶつかる音だけ聞こえる。この時ばかりは秋音も何もしゃべらない。
少したって腹の虫も落ち着いたのか、秋音が口を開いた。

「おかあさん、今日はシューヤを丘の上に案内してきたよ」
「ふむ、修野君は村を見てどんな感想を抱いた?」
「そうですね……何もないなぁと。空音さんはずっとこの村に住んでいるんですか?」
「あぁそうだ」
「えっと……とすると、俊夫さんとはどうやって知り合ったんですか?」
「それは僕が説明するよ」

そう言ってスプーンを置く俊夫さん。

「僕がこの村に来たのは本当に偶然だったんだ」

少しはにかみながら話を続ける。

「恥ずかしながら大学生時代に傷心旅行をやっていてね、行くあてもないバイク一人旅さ。快調にとばしていたんだけれど、ちょうどこの家の目の前でスリップして電柱に激突してしまったんだ」
「あの時は凄い音がしたからな、雷が落ちたのかと思ったぞ」
「それでクーに助けてもらって、うん、まぁいろいろあったんだよ」
「君が泣きやむまでずっと頭を撫でてやっていたな……あの夜は忘れられない……」
「く、クー!それは忘れてって!」
「何を言う、大切な思い出だ。今でも鮮明に思い出せるぞ?そうあの日は……」

空音さんが独演会を開こうとした時、俺は俊夫さんからの(タスケテ)というコールを受信した。
了解、貸一つ覚えておいてくださいよ。

「えーと!空音さんはずっと村に居て俊夫さんがこなかったらとか考えませんでしたか?」
「うん?それは考えなかったな」

よし、なんとか話題をそらせたみたいだ。

「この村には迷信というか、昔から語り次がれている話があるんだ。村の娘は偶然訪れてきた男性と生涯を幸せに過ごすというね。私の両親もそうだったらしい、今は二人きりで世界旅行を楽しんでいる」
「へー、なんだかロマンチックな話ですね」
「そうだ、君も偶然訪れてきた男性だな。ということは秋音を幸せにしてもらえるのか?」

マズイ!俊夫さんの矛先をそらしたら俺に返ってきたぞ!

「い、いや。そういう事はとくに」
「駄目なのか?秋音の器量は悪くはないと思うんだが……」

確かに秋音は可愛い、俺が前居た高校の同級生全員と比べてもトップに位置するかもしれない。
でもいきなりそんなこと言われても……よし!さっき貰った貸を今すぐ返してもらおう!
俊夫さんに届け、俺のコール!

「まぁまぁ修野君も困っているじゃないか、そのくらいで止めておいてあげようよ」

Yes!俊夫さん判ってます!

「秋音と修野君が仲が良いのはもう見ればわかることだし、後は当人達に任せようよ」

一言多いです、フォローになってません。それに続いて秋音まで会話に参加してくる。

「幸せにしてくれる?」
「しらんしらん!」
「幸せ前借りー」
「あ、おい!俺のポテトサラダ!」
「おいしいねー、おかあさんのは最高だねー」

最初の静けさは何処に行ったのか。今はもう嵐の真っ只中、無法地帯だ。

「うん、皆食べ終わったみたいだね。ごちそうさまでした」

俊夫さんの号令とともに皆ごちそうさまと言い、つつがなく昼食終了。さてこれからどうするか……

「む、まだカレーが残っているんだが」

空音さんの声に振り返ると、椅子から腰を浮かせた俊夫さんが固まっている。

「あ、あぁそうだね、それじゃおかわりもらおうかなー。あははは」
「そうか!それじゃよそってくるからな!」

満面の笑みを浮かべた空音さんと、俺の方を向いて力なく笑う俊夫さん。

「ほらねー、おとうさんいつもいっぱい食べるんだよ?」
「そういうことね……」

男の鏡です。合掌。

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