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80=124さんの作品

「……俺は」
俺はどうすればいいんだろう。どんな顔をして先輩に会えばいいんだろう。 お昼休み、屋上に向かいながら思い出すのは今日の、ついさっきの悪友との会話。
      ◇ ◇ ◇
「なあ、水上秋って名前の先輩を知ってるか?」
ただ、興味本位で。信頼してる悪友になら先輩の事を少しくらい話してもいいかと思って尋ねたんだ。
「知っているが……何だ、惚れたのか?」 「んー、惚れたと言うか……って、知ってるの!?」 「たまに噂を聞くぞ。容姿端麗、頭脳明晰の才色兼備。男の夢レベル高そうだな」
噂があるなんて知らなかった。しかも頭がいいだって? 失礼だけどそれは意外だった。男の夢レベル、大幅アップだ。
「だが気になる事もある」 「他にもあるのか、早く教えてくれ」 「……あくまで噂だぞ?」
構わん。こういう場合、噂を聞く事でイベントが発生したりするものだ。 展開が王道で嬉しい限り。やはり高校生活はこうでなければ。 さて、どんな噂が飛び出すやら。実は宇宙人とかが在り来たりだがちょいと古くていい感じか?
「何というか、彼女は個性的な話し方をするそうでだな」 「ああ、それは知ってる」

お前も十分、個性的な口調の気がするけどな。まあそれは置いといて。
確かに先輩の話は予測不能だ。何度もこの身を持って味わってきた。
「その為もあってか、あまり友人には恵まれていないらしい」 「ほうほう……待て、どういう事だ」
今、お前は何と言った。俺の聞き間違いか?
「頭がいい、外見もいい。そんな彼女に嫉妬や尊敬をする者は自然と間を空ける。  近づくものは、その話し方に圧倒されるとでも言うか、ついていけないそうだ」 「……嘘だろ?」 「あくまで噂だ、あまり信じるな。だが火の無い所に煙は立たないだろうな」
嫉妬に尊敬、圧倒。だから友達が少ないだと?
「少し落ち着け。こういう事は悲しいが別に珍しい事ではない」 「俺が気にしてるのは珍しいとかじゃなく!!」 「それに全く友達がいない訳でもあるまい。それから何度も言うがこれは噂だ」 「……すまん、冷静さが足りなかった」 「気にするな」
コイツに怒鳴るのは御門違いだしな、反省せねば。
「まあ、そういう訳で水上秋と言う先輩を私は知っている。これでいいか?」 「ありがとう、お前が話してくれなかったら知らないままだった」 「……そうだ、その先輩に関する話でもう一つ言いたい事があった」 「ま、まだ何かあるのかっ!?」
一体、他にどんな噂が?

「幸せを決めるのは友人の数では無いぞ。本人が幸せと思うか否かが重要だ」 「……それがどうしたんだ?」
幸せの定義と言う奴か。でもそれが今、何と関係しているんだ。
「いや、君がいるのだからな。彼女は幸せなのだろうなと思っただけだ」 「何故、俺がいると先輩が幸せに?」 「同じ様な境遇の私がそうだったから恐らく彼女もそうなのだろうとな」 「さっきから言ってる事が訳分からんぞ?」
同じ様な……たって、確かに顔も頭も良し。 個性的な話し方の装備は先輩と同じだが中学時代のお前は人気者だったろ。 何人かの女子からはお姉様とか言われて慕われてたよな。告白もよくされてたな。 未だにその理由が分からんのだが、確か全員断っていたな。何故だ?
「分からないならそれでいい。要は彼女を悲しませるなという事だ」 「りょ、了解?」 「あんまりグズグズしていると、嫉妬が抑えられなくなるから急ぐ事を勧める」 「嫉妬?」 「すまない、失言だった」
んー、よく分からんがお前も大変なんだな。 何時も助けてもらってばかりなのに気が回らなくてすまん。でもその願いはしっかりと了解したぞ。
「さて、今日の昼休み。その先輩に会うのだろう。君はどうするのかな?」 「何故にそれを知っているっ!?」 「何でだろうな。……そうだな、私もESP保持者なのかも知れないぞ?」 「つまり知らない間に色々口走っちゃってるって事だよね……」 「ふふ、何にせよ頑張りたまえ」 「ありがとう、クー」

      ◇ ◇ ◇
で、屋上へ出る扉の前まで来た訳だが。 先輩の前で下手に噂に関する事を口走るような事態だけは避けないとな。 しかし本当にどうしたものか。何で今日に限って昼に集合なのかも分からないし。
「まー、成る様に成れと言う奴ですな」
よし、開き直ってやる。何でも来いっ! 今の俺は誰にも止められないぜ。さあ、いざ青空の下へ。 扉を開け、俺は心を解き放ち、爽やかな風を全身で感じ――。
「……あ、あれ?」
体が宙に浮いてますね。世界が落ちて行く? ああ、違う。もっと単純な事だ。俺は――。
「転んだんだっーー!! ……ぐふぁ!」
手をつく間もなく思いっきりこけた。ついでに顔面を強打しました。 お父さんお母さん、先立つ不幸をお許し下さい。バタッ。
「大丈夫?」 「お気遣いは無用です。今、リアルタイムで死んでる真っ最中ですので」
もしかして天使からの声だったのか? それなら天国への行き方を尋ねておいた方がよかったか。 140円しか無いけど、乗り物に乗れるかな。やっぱり徒歩?

「おお しゅう よ しんでしまうとはなさけない」 「情けないのは百も承知ですがトラップ設置は酷いのではないでしょうか?」
そろそろ現実に戻ろう。先輩、何か仕掛けたでしょう。
「……これは孔明の罠か!?」 「あ、あの?」 「止むを得まい、ここは一時休戦しよう。さ、こちらへ」 「あ、どうも」
何だか妙に演技に気合いが入ってるので従ってみる。で、今日も出ました万能アイテム布団。 部活の正式名称からはさり気なく姿を消したものの、相変わらずの出席率。その横に置いてあるのは……炊飯器?
「しかし大変な事になった。まあ、座って」
そうですね、大変だ。何と言っても炊飯器だ。 幾らお米部でも、その領域まで行ってしまうとは恐ろしい。あ、ちゃんとコンセントに繋がってる。
「我々は敵同士。しかし状況が状況」 「と、言いますと?」 「あの孔明の力は侮れん。ここは握り飯でも食べながら仲良くしようではないか」
先輩が開けたその炊飯器の中にはおにぎりが。これはもしかして女の子の手作りと言う奴だろうか。 ん、という事はよく分からないけど今までの流れを察するに 俺はこのおにぎりを食べていいという事だよな。時間的にもお昼だし丁度いい。
「あ、その為にお昼休みに俺を呼んだんですね!」 「そう、つまりは同盟を結びたい」 「同盟? 分からないけど分かりました。是非ともそうさせて頂きます」 「……よかった、これで一緒にご飯が食べられる」

問題が分からなくても答えが分かれば正解できるんだ。 腑に落ちない部分もあるが、ご飯を食べれるという正解は悪い事ではない。
「お昼、まだだったんですよね。美味しそうだなー」 「厳選した米だけを使用しているから、不味いなんて言ったら退部」
それは是非とも勘弁して欲しい。何だかんだいって俺はこの部活が好きなのだから。
「ではこのおにぎりを頂きます」 「ん、自由に好きなのを取って」
まずは一口。……うん、美味い。白いご飯がこれほどまでに美味しいとは。 さて、落ち着いたところで今日も何時もの様に一つずつ行きましょうか。
「では、第一の質問です」 「恒例の質問たーいむ」
ごめんね、俺が先輩のやってる事を全て瞬時に理解できればいいんだけどね。 おじさん馬鹿だから、孔明の罠とか炊飯器とかの展開にツッコミを入れたくなってしまうんだ。 言語理解能力が低くて本当にごめんね。でもそんな自分が結構好きなの。 ……って話がずれてるがな。戻さなければ。
「あの罠なんですか?」 「……孔明の罠?」
直球をバントでヒットにされた気分だ。……分かり辛いな。 いっその事、某ファミコンゲーム風にバントでホームランと言う表現を使うべきだったか。 ちなみに先輩、疑問文に疑問文で返すと0点になっちゃうんですよ?

「足元に紐を張っただけの仕掛けの単純さから見て、先輩の罠かと」 「酷い! 私の事、そんなトラップしか仕掛けられない女だと思ってたのねっ!?」
いや、レベル的に先輩はもっと高度な罠を仕掛けられそうな気がしますよ。 何となくそんな事を感じさせる。……念の為に確認するが褒め言葉だぞ? それに俺はもう既に先輩の罠に掛かってるしな。 気付いたら先輩の事を思い浮かべてしまったり、抱きしめたくなってしまう罠に。 もうドップリ浸かっている様で簡単には抜け出せないみたいだ。無論、抜け出す気は無いが。
「シュー先輩って笑いながら爆弾の一つや二つ、解体できそうですよね」 「……そ、そんな事言われたら怒るに怒れないじゃない!」
ツンデレ発動。うむ、照れてる照れてる。ちなみに何故そこで照れるのかと問う事はしない。 可愛いは正義。先輩の照れ顔を拝見できるのなら、そんな野暮なツッコミはゴミ箱へポイだ。

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